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感動する私の隣で寒さに震え始めた彼は、身体を小刻みに揺らし始めた。 「飯は、何か買って帰ろう。 こんな日に俺、並んでられない」 ずっと外にいたから、すっかり冷えている私たち。 「愛媛の時より部屋は狭いからな。ベッドもだぞ」 イルミネーションを背中に、二人で歩き始めた。 「もう!ヤダ」 クスクス笑いあって、なぜか足早に賑やかな街を抜け出そうとしていた。 「里穂…」 「なあに?」 「会いに来てくれて、ありがとう」 イルミネーションも人混みも 彼に隠されて見えなくなって 彼の胸の中に包まれたら、 冷たい彼の唇が 冷たい私の唇に重なった。 end.
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