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「リサーチ済みなんだ」 自信あり気な彼に引っ張られるように入ったお店は、愛媛にもあるジュエリーショップの本店らしい。 百貨店のフロアに並ぶ売り場とは違う、高級感漂う白を貴重にした眩しい店内に視線は彷徨うばかり。 迷うことなく彼が見つめる先。 磨かれたショーケースの中。 整列したリングの前に記された小さく並ぶ金額は、簡単におねだりは出来ない。 絡めた指先から彼の意図は測れない。ショーケースを覗く彼の横顔を一歩引いて見つめた。 「コレ、いいですか?」 店員さんに指さす彼。 トレイに乗せられた 赤いリボンのデザインのピンキーリング。 「可愛い…でも、」 「似合うよ。クリスマスにプレゼントしようと思ってたから。 約束だから、小指。な?」 赤いリボンのピンキーリング 背中に添えられてる彼の手 今すぐに彼に抱きついて、愛されたい衝動をグッと抑えて 促されるように、頷いた。
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