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「東京、遠かった?また、来てくれる?…来て、欲しい」
照れて笑う彼からの言葉に足が止まる。彼の背中越しに、街並みが輝き始めた。
寒さと恥ずかしさと予定外の言葉に足元に、視線を落としたままコクコク頭を動かす私。
後ろから抱きしめられて、更に身体を硬くした。
「来てくれる?里穂?」
左に傾けた頭に彼の頬が当たる感じがした。
「今年は、約束の小指な。
指輪は左手にしろよ、願いが叶うから。
次の異動はいつかわからないけど、今度は二人で行きたいんだ。
里穂…
イルミネーション、ちゃんと見て。
里穂?」
「イルミネーション、見てるよ」
寒くて鼻水を啜りながら答える私に、彼の白い息がぶつかった。
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