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「…誰にも、 内緒にしてください…」 「もっちろん、言わないわよ。 そっかあ、やっぱりねえ。 すぐにピンと来たわよ」 「…どうしてですか…?」 「だって春山くん、 ただの生徒に自分のことを 簡単に話すような子じゃ ないような気がしたから」 芝田さんは少し得意げな、 それでいて少ししみじみとした、 寂しそうな表情を浮かべた。 ……春山先生のこと、 「子」って言うひと、 初めてだ。 高校時代の春山先生しか 知らないこの人にとって、 先生はいつまでたっても 「子」なのかもしれない。 「入院してたクラスメイトが、 どうなったか、って 話だったわよね」 芝田さんは 申し訳なさそうな顔をした。
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