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「おっ。すごくいいね。 うちの写真館の専属モデル、 お願いしたいくらいだよ」 …めちゃめちゃ、 調子いい事言われてる…。 それでも、やはり言われた 彩加としては嬉しかったのだろう。 普段は絶対にしない 上目づかいを披露し、 はにかんで見せている。 視聴覚室の後方の壁には、 パイプ椅子がずらりと並んでいた。 撮影を待っているのは 女子3名ほどで、 その一番向こう側には、 春山先生が座っている。 「…はいっ、OK! ありがとうね、彩加ちゃん」 「いーえっ」 彩加は上機嫌で カメラの前から立ち上がり、 すたすたとこちらに 向かって来た。 「萌、今の、どうだった?」 「うん、可愛かったよ、すごく」 「えー、そんなことないよぉ」 だしっと肩を叩かれ、わたしは 椅子ごと倒れそうになった。
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