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「はい、お次は…先生ですね。
春山先生、どうぞ」
「はい」
春山先生が立ち上がると、
助手の若い女性が
先生の元に駆け寄った。
エチケットブラシで簡単に
スーツのほこりを取ってから、
先生の髪を指で梳き、整える。
よく見ると、ほんのり頬を染め、
明らかに先生の顔に
見とれているのが分かった。
促された先生が椅子に座ると、
カメラマンはカメラの高さを調整し、
ファインダーを覗いた。
「おおっと、
いい男ですね、先生!
こりゃ、生徒に
モテモテなんじゃないですかっ」
「いや、それはないです」
先生が笑うと、すかさず
シャッターが切られた。
――なるほど…スゴイ。
さすがプロ。
わたしはチャラい
カメラマンの後ろ姿を
尊敬の眼差しで見つめた。
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