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「…どう?うまい?」 春山先生のお兄さん―― ――和真さんが、 ダイニングテーブルの上に 身を乗り出し、至近距離から わたしを見つめている。 コクリ、と頷くと、 和真さんはガッツポーズをしてから、 私の向かいに座る 春山先生にビシッと 人挿し指を向けた。 「椎名さんのハートゲッツ!」 春山先生は、知らん顔で ビーフカレーを食べている。 わたしはカレーを呑みこむと、 ミネラルウォーターを 一口飲んでから興奮して言った。 「…美味しいです、すごく。 …わたし、甘口も好きなので、 ちょっと感動しました」 「おっ、嬉しい事言ってくれるね」 「和真さん、料理得意なんですね」 「いやいや、俺、 これしか作れないからさ。 マミがいなくて、 翔平と二人きりの時は 毎回このカレー作るから、 嫌でも上達しちゃうんだよね」 和真さんは嬉しそうに 春山先生のコップに 水を足してあげている。
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