333人が本棚に入れています
本棚に追加
「…どう?うまい?」
春山先生のお兄さん――
――和真さんが、
ダイニングテーブルの上に
身を乗り出し、至近距離から
わたしを見つめている。
コクリ、と頷くと、
和真さんはガッツポーズをしてから、
私の向かいに座る
春山先生にビシッと
人挿し指を向けた。
「椎名さんのハートゲッツ!」
春山先生は、知らん顔で
ビーフカレーを食べている。
わたしはカレーを呑みこむと、
ミネラルウォーターを
一口飲んでから興奮して言った。
「…美味しいです、すごく。
…わたし、甘口も好きなので、
ちょっと感動しました」
「おっ、嬉しい事言ってくれるね」
「和真さん、料理得意なんですね」
「いやいや、俺、
これしか作れないからさ。
マミがいなくて、
翔平と二人きりの時は
毎回このカレー作るから、
嫌でも上達しちゃうんだよね」
和真さんは嬉しそうに
春山先生のコップに
水を足してあげている。
最初のコメントを投稿しよう!