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「何がおかしいのよ」
「初で可愛いと思ってな」
「…からかわないで」
「からかって等ない。顔も可愛いが、中身も相変わらず可愛い女だ」
仁さんはその身と顔を私へとぐっと近付ければ、耳元で囁く様に述べる。
低く色香を纏った声に思わず肩を縦に揺らしてしまい、咄嗟に顔を反対側へと逸らし仁さんへ後頭部を向ける形になる。
「そ、それで口説いてるつもり?」
「嫌、口説くなら生半端な事はしない。時期を見て口説くとするか」
「やめて。口説かれたってなびいたりしないわよ私」
「そうか。まぁ精々頑張る様にな」
見つめられた矢先の事、不意打ちで唇を強引に重ねられ驚く間もない間に幾度も唇を啄まれ、軽く開いた口内を舌で撫でる様に愛でられ唇は解放される。
小さく吐息を漏らす私とはうってかわり、仁さんは爽やかな表情のままその場を後にした。
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