第一章

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(今日はどれを着ようか・・・) アリスにとっては趣味の合わないものがほとんど(というより全て)だった。 そのとき、再び部屋のドアがノックされた。 「アリス?言い忘れてたんだけど今日はお客様が来るからこの前ママが買ってあげたワンピースを着るのよ?」 「・・・わかった」 「そう。それじゃ、着替え終わったら下に降りてきなさい。髪をセットしなくちゃ」 アリスはクローゼットに並べられたワンピースに手を伸ばした。 アリスが手にとったのは、少し前にリサが買ってきた水色のノースリーブワンピースだった。 丈は膝より少し短く、ハイウエストの位置で黒いリボン付きのベルトを留める形になっている。 アリスは着替え終わるとリサが待っている下の階へと降りていった。 ダイニングへ行くと、そこでは父親のジョンがコーヒーを飲んでいた。 「おはようパパ」 アリスはジョンの頬にキスをしながら言った。 「おはよう。そのワンピース、似合ってるよ」 「ありがと」 アリスはジョンが好きだった。 ジョンはアリスが男の子達と遊んでいても怒らなかったし、自分が小さい頃に遊んでいたミニカーまでくれた。 アリスは今でもそのミニカーを大切にしまっている。 もちろんリサのことも好きだが、アリスは自分を認めてくれるジョンの方によく懐いていた。 洗面所へ向かうと、そこではリサがアリスを待っていた。 「アリス!遅かったじゃない。さ、早くここに座って」 リサは鏡の前に椅子を用意しながら言った。 リサはヘアスプレーやリボンを取り出しながら、アリスに話しかけた。 「やっぱりよく似合ってるわ!ママの思った通りね。アリスも気に入ったでしょう?」 「うん、ありがとうママ。パパにも褒められたわ」 アリスは思ってもいないことを口にした。 (私、本当はもっと動きやすくてかっこいい服がいいのに・・・・・・) 「ママ、お客さんて誰?」 「ベンおじさんよ。しばらくうちに泊まっていくみたい」
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