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―――なぁ、待てよ。
遠い先にアイツ等の背中が見える。
―――やっぱり…あたしは駄目なのか?
あたしは精一杯手を伸ばすがその背中には届かない。
―――あたしが…姫鬼だからいけないのか?
あたしが鬼姫だからいけないのか?
必死に足を動かしても全く追いつく気配はない。
―――血を浴び続けて来たから…嘘をついて騙し続けて来たから…ごめん、本当にごめんなさい。
必死に声がつぶれるほど叫んでも誰も後ろを振り返ろうともしない。
―――何回でも謝るから、気が済むまで殴ってもいいから…あたしを…。
止まらない涙が頬を伝って地面に落ちる。
―――あたしを…見捨てないで…置いて…いかないで…。
「つっ……!!」
嫌な、夢を見た。
気怠い身体を起こしこんな寒い季節にもかかわらず汗をかいているせいで体がべた付く。
首筋に髪がへばりついて気持ち悪いのすら気にならない。
頭がボウっとしてなにも考えられない。
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