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「……。」
「そんな顔、するくらい簡単じゃないんだったら…諦めなきゃいいじゃん。」
今の晃の顔を見れば…あたしがさっきまでごちゃごちゃ考えてたことはどうでもよくなった。
「戦って戦って、全部やりきってから、スッキリさせてから終わらせればいい。」
「……。」
いつも晃にやられている…、晃の頭を優しく撫でてみた。
「でも…それだけに夢中になって、大切なモノを取りこぼさないように。」
こんなこと、あたしに言えることじゃない。
ずっと蓮の仇討に夢中になって、大切なモノを取りこぼしてきたあたしには。
だけど…晃には、そんな思いしてほしくなかった、みんなの、太陽になってるコイツには。
「ん、これあげるから。」
「……。」
「今、プリン持ってないから、ってかこれしか持ってないから。」
あたしはイチゴミルクの飴を晃の口の中に押し込む。
「これでもうちょい頑張ってよ、ね?」
「…そうだな。」
サンキュ、と小さく呟いた晃の顔は少しだけ歪んでいて。
それを隠すようにヘルメットをかぶった。
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