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夜の繁華街をお姉ちゃんと並んで歩いていると、たくさんの男たちに声をかけられる。
慣れない私はその度にビクビクしてしまうが、お姉ちゃんは「ごめん、うちら彼氏んとこ行く途中」と上手くあしらってくれる。
繁華街から狭い路地に入ってすぐの所に目的のクラブがあった。
「ちょっ、美幸さん!何でいるんすか?」
クラブの入口で、お姉ちゃんが若い男の人に声をかけられた。
若いといっても私よりは年上なんだけど。
「今日、正樹が回すんでしょ?」
お姉ちゃんがその人に言うと
「え!どっから情報漏れたんすか?ってか、正樹さんは美幸さん来ること知ってます?」
「言ってない。内緒で来た」
それだけ言うと、私の腕をグイっと引っ張ってお姉ちゃんは地下へと続く階段を降りた。
後ろを振り返ると、さっきの男の人が「マズいよ~」と頭を抱えてしゃがみ込んだのが一瞬だけ見えた。
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