第1話

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最近、『青春を満喫する』なんて希望を捨てた。 この高校に入学して早1年。 1年もいれば全学年の生徒の顔を一通り見定めたはず。 そして少女漫画のような一目惚れはなく、周りは良い大学に向けて勉学に励むお手本のような優等生ばかり。 「この学校にはさ、オシャレな感じの人いないの?」 フルーツ豆乳の紙パックのストローを啜りながら、目の前にいる友人・梨花に問いかける。 「いないねー」 梨花は器用に片手で携帯電話をイジりながら横目で私を見る。 「まぁ、千鶴に合いそうな男子はいないよ。だから…」 「だから紹介するって話でしょ?それは嫌だって断ってるじゃん」 梨花の言葉にかぶせるようにそう言って再びストローを吸ったが、ズゴゴゴッとジュースが終わった音がした。 梨花には他校に彼氏がいる。塾で知り合ったらしい。 最近はその彼氏の友達を私に紹介すると言って聞かない。 だけど紹介とかって、実際会ってお互いに品定めして片方がダメだったら悲惨な結果になる。 自分がどう評価されるかと思うと怖くて無理だ。
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