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「着替えたらココに座って!」
化粧台の前に腰かけると、お姉ちゃんが私の顔を覗き込む。
「クッソ、10代の肌ってムカつくわ」
と言いながらファンデーションを薄く塗り、眉を整えられ、ビューラーでまつ毛をクルリとされ、マスカラを付けられる。
それだけでもかなり人相が変わったのに、ブラウンのアイシャドウを塗られ、リップグロスを付ければ、もはやいつもの私ではない。
アイロンで髪にカールをかけ、それで無造作にポニーテールを作られた。
「さすが私の妹」
お姉ちゃんが満足そうに笑い、そして思い出したように時計を気にした。
「あ!ヤバい!正樹の番に間に合わない!」
…正樹?
たしかお姉ちゃんの彼氏の名前だ。
玄関先でお姉ちゃんにヒールのブーツを履くように言われ、きちん戸締りをして二人で夜の街に繰り出した。
一之瀬 千鶴 16歳の冬
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