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自分でも
認めざるを得ないほど、
わたしに似たその人は、
称美学園の制服を着て
笑顔を浮かべていた。
わたしよりも少し
寂しそうなその瞳は、
……どこか、先生と
同じ悲しみを
たたえているような気がした。
徐々に、
彼女の笑顔が滲んで行く。
ぽた、と落ちた涙が、
携帯を握る手の親指で弾けた。
――過去じゃ、なかった。
先生と彼女の恋は、
まだ、終わっていなかったんだ。
先生は…。
――報われなかった彼女との恋を、
わたしでもう一度、
やり直そうとしていたんだ。
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