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『…本当ならお前も、 …同じ制服を着た彼氏と、 一緒に手を繋いで帰ったり…。 昼休みに屋上で膝枕したり、 …学校帰りに ファミレスに寄ったり…。 そういう、ごく普通の経験が、 出来たのに…』 先生は、――彼女ときっと そうやって、高校時代を 過ごしたのだろう。 だからこそ、 その日々の大切さを、 掛け替えのなさを知っている。 そして、その日々を知らずに 高校生活を終えようとしている わたしに、 申し訳ないと思っている。 「…はるきちの、ばか…」 わたしは呟いて、 溢れる涙をもう一度、 枕で拭いた。 …違う。 はるきちは悪くない。 先生は、優しい気持ちから、 わたしに謝りたいと 思っただけなんだから。 こんな風に 意地悪く考えるわたしが、 すごく歪んでいるんだと思う。
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