2)鉄は熱いうちに打て。恋も熱いうちに撃て?

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「はい」 他にも何か迷惑を掛けてしまっているのだろうか。 不安を募らせながらの奈都が馬場に視線を向けると、にこりと満面の笑みと共に次の言葉は返された。 「僕と、付き合ってくれないかな」 「――――は…??」 発した彼女自身が驚くほどの頓狂な声が出た。 何を言っているのだろうこの人は。何故この話の流れで。大体今日が初対面に近い(こちらは名前もうろ覚えなくらいだった)というのにその申し出。いや、そもそも発言自体が聞き間違えだったのでは――。 脳裏ではありとあらゆる疑念が怒涛の勢いで走る。 対して目は点、口は「は」の形に開いたまま固まる奈都だが、向かい合う馬場も一定して笑顔を崩さない。 「…え、えーと、すみません、私の耳に妙な台詞が届いてしまったんですが。まさか届いた通りの意味のはずは、ないですよね…」 「届いた通りそのままの意味だけど」 「よくあるちょっと売店まで行くのに“付き合って”とかいうベタなオチじゃ…」 「30過ぎた男がそんな冗談言わないよ」 微笑んではいてもその目は発言を証明するかのように真剣だ。 真っ直ぐにこちらを見つめてくる。揺れが全く無い。 「どうして私が…」 「ごめんね、驚いてるよね。僕も自分で唐突だと思うんだけど、今日の西浦さんの一生懸命な姿が凄く気に入ったから。 ほら、鉄は熱いうちに打てっていうでしょ。即日実行タイプだから僕」
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