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「ようこそ、勇気ある者達。歓迎しますよ」
少し長めの茶髪と、同じく少しだけ垂れ目に右目の下には泣き黒子。
その青年は、落ち着いた口調で話す。
「コルドアは?」
フェイトが先陣を切って尋ねる。
同じく静かな口調だった。しかし、落ち着いてはいない。強張った声である。
「此処にはいませんが、この建物の中にはいますよ。探すなら急ぐことをお勧めします」
その青年は右手で近くにある通路を示す。
礼儀正しく、そして笑顔を見せながら。
「とはいえ、一人は此処に残って頂けますか? 流石に、黙って通したとなると仕事放棄と思われてしまいますので」
その青年を見据えながら、フェイト達の表情は疑いで曇る。
「どういうことや?」
「あれじゃない? 油断させといて背後から……みたいな」
九頭と葵が考え付くことを述べるが、答えは解らない。
そんな中、ケイトが口を開いた。
「あれこれ考えても仕方が無いだろ? ここは従おうぜ。残るのは俺で良い」
「本気?」
「あぁ、さっきも話したとおり時間は無い。ここで考える時間も無駄だろ?」
ケイトがそう言い終えると、
「決まりましたか?」
「あぁ、俺が相手だ」
ケイトが前に出ると、青年は再び笑顔を見せる。
「ようこそ、勇気ある者。君に敬意を表しましょう」
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