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「さっさと行け!! 俺もすぐに追いつく」
「解った。頼んだよ」
フェイト達はケイトを置いて、青年が示した通路を走って行った。
姿と足音が消えるまで、ケイトも青年も動くことは無かった。
「本当に見逃すとはな」
「嘘をついても仕方が無いでしょう。それに私一人で相手をしなくても、他の者が対応しますので」
「俺は、その他の者の相手も控えているんだ。さっさと戦おうぜ」
「……私に勝つ、ということですね?」
「当然」
ケイトは太刀に巻いた包帯を解き、自分の腕に巻きつける。
彼の戦いの準備は整った。
「素晴らしい闘志です。ですが、一つ自己紹介といきましょう」
「はぁ?」
「私は『セブン・エレメント』の一人、クレイドル・クレイマンと申します」
クレイドルは丁寧に頭を下げて、自分の名前を述べる。
そして、顔を上げたとき、彼は再び笑みを見せた。
「俺はケイト・ハルバード。コルドアの友達だ」
ケイトは相手を力強く睨む。
相対する二人は真逆の表情で向かい合った。
「友人の為に、戦うとは素晴らしい」
「余裕ぶっこいた態度が、いつまで続くか――試させてもらうぜ!!」
その言葉と共にケイトはダッシュで距離を詰める。
常人離れした脚力は、間合いを一瞬で無くした。
「身体能力も素晴らしい。ただ、一つ残念なのは……」
クレイドルは動かず、ケイトを待ち構える。
そして、相手が太刀を振りかぶるのを見ると、笑みを見せたまま、
「相手の実力を見極められないこと、ですね」
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