105人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫かな……ケイトくん」
後方から聞こえる轟音にユイは反応し、呟いた。
音だけでも想像出来る激しい戦闘は、彼女の中の不安を駆り立てるには充分だったのだろう。
「大丈夫やって、ケイトが簡単に負けるわけないやんか」
九頭は明るい口調で話す。
その言葉の半分はユイの不安を振り払う為、半分は自分に言い聞かせていた。
「今は進もう。少しでも前に」
「フェイトの言うとおりや。コルドアを救えれば、俺等の勝ちやねんから」
会話を終えると再び彼等は進み出した。
そして、少し進むと再び足は止まった。
道が分かれていたのである。
「どうする?」
九頭が見渡しながら、尋ねる。
一階は二方向に分かれており、何処か別の部屋に繋がっているようだった。
そして、もう一つは二階へと続く階段があった。
「分かれて探すべきだな」
そう言ったのはカグラである。
彼は、九頭の前に立ち、皆に演説するように話す。
「何処にいるかは解らないが、此処にいることが確かなら全て探すべきだ。とはいえ、じっくり探していてはロスになる。手早く、迅速に。建物は大きいが、全て調べるにも手分けして全力で走りながらなら、一時間も掛からんだろう」
「せやな。例え散り散りになっても、一人でも多く、そして早くコルドアに辿り着くことが優先事項や。承認が下りて、誰もコルドアのいる場所におらへんことが一番最悪な結果やからな」
カグラと九頭の言葉に納得すると、全員の考えは纏まった。
「だったら、決まりだね。僕は上に行くよ」
「じゃあ、私達も上に行くわ」
フェイトと葵、ユイが階段を見つめ、頷く。
「だったら、俺は一階を見て周ろう」
「俺は反対から見て周るわ。一階に何も無かったら、すぐに二階へ行くわ」
そう言って、フェイト達は二階へと駆け上がる。
そして、九頭とカグラは分かれて一階を走って調べることになった。
最初のコメントを投稿しよう!