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「少し時間あるから一服してくるわ」 「俺も」  史也と陽介はタバコとライターを持ち、教会の外へと向かった。 「あいつら未成年でしょ····」 「陽介先輩····見た目真面目そうなのに意外·····」  呆れた声で話す明奈と真美。  煙草を吸えば成長の伸びが遅くなると言う話があるが彼奴らは大丈夫なのだろうか。  そんな会話をしている2人に良平は割り込んだ。 「兄ちゃんはともかく史也とか育ち盛りなのにね。」  陽介は身長が180cm以上の高身長だから心配はないと笑いながら良平は言う。  むしろ身長が低い良平の成長度合いが心配だ。陽介と比べ良平は顔も幼く少し肉付きがいい。  終いには森信から「お前最近また太った?」と、言われ当の本人は苦笑いだ。 「もう!そんな問題じゃないの!!」  明奈からしてみれば身長の問題では無い。  身体の健康の事を心配しているのだ。  主に肺。未来の旦那様候補が肺癌予備軍だなんて気が気ではないだろう。 「···ツキ?」  少しばかり聖月の様子がいつもと違う気がする。  なんと言えばいいのだろう。  とても悲しそうな           そんな気がした。 「ロザリオ今のうちにセットしとくね!」  明奈は祭壇にロザリオを置き陽介と史也を待った。  明奈はもし願い事が叶う噂が本当ならこのまま陽介と結婚したいと願うと話した。  真美は未来が見えるなら自分がどんな大人になっているかみて見たいと話した。 そして沙乃は ーー叶うのなら、また···あの子に逢いたいーー 心の中でそう願った。 ーーーーーー 「うわ~····外冷えるわ~····」  明奈達が盛り上がっている時に戻って来た史也と陽介。 3月の終わりだ。 まだ風は冷たい。 「そろそろ0時か」  時間はもう気が付けば0時前1分。 「·····ツキ。大丈夫?具合悪いとか·····」  さっきから何も話さず暗い影を落としている聖月が気になって心配になってきた。  聖月は       とても思い詰めた顔をしていた。 「······沙乃。あのさ···!」 ーーカチーー  聖月の言葉が終わる事なく時計は0時の針を指した。  その時の聖月の顔は忘れられない。  とても悲痛で今にも泣き出しそうな君の顔は  あの夢の男の子の顔にとても似ていたんだ。
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