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20XX年3月31日。
春日町の並木道は桜が満開に咲き道に沿って薄紅色の絨毯が敷かれていた。
「次何する?」
「カラオケ?」
「お前マイク外さないじゃん」
ゲームセンター前に戯れている少年少女達5人は来週期待を胸に高校生になる。
そんな5人の中の一人が明日誕生日ということで夜通しで遊ぶ事になったのだ。
「だってツキの誕生日まで時間ありあまってるじゃん」
「だからってカラオケオールするつもりねぇよ。」
「あ、ばれた?」
カラオケを提案した少女【山川 沙乃】に断固拒否する少年【長元 史也】はゲームセンターから出てきてずっとこの会話を繰り返している。
「もう、カラオケでもいいよ俺ら····」
その二人に半ば呆れ気味の三人は沙乃の提案に賛成するも
「無理無理!だってこいつ昨日もカラオケ行って一人で歌いっ放しだったんだぞ!!」
「あ!ちょ、バラすなって!!」
イヤイヤと首を横に振る史也は昨日の出来事を暴露し、沙乃は焦った表情で史也の背中を叩きまくった。
「もぅさ···お前らいっそ付き合えば?」
ほぼ、毎日の様に一緒に遊んでいる沙乃と史也は他所から見れば付き合っている風貌にも見えるだろう。現に学校ではそんな噂がチラホラと聞こえるくらいだ。
「似たような髪色にしてお前ら仲良すぎなんだよ」
「これは沙乃が髪染めるの手伝った時に余った染め粉貰っただけだって前言ったじゃん!」
「って言うかあたしらそう言う関係にはならないって!!」
沙乃と史也の全否定に「本当かよ~?」と怪しそうに問うのは二人とは対照的な黒髪短髪の【杉原 森信】。
春休みだからと言って、沙乃と史也は新色の染め粉を買って2人でオレンジブラウンの髪色にしていた。
そんな事をするから周りに勘違いされるんだと森信は言う。
「もぅいっそ俺らの家で寛いでてもいいんじゃない?今日いるの姉さん達だけだし。」
話をさりげなく変え、そう提案してきたのは史也の義理の兄弟であり明日の主役の【長元 聖月】。
「あ、じゃあツキの意見に賛成」
「お前、聖月のいう事は聞くんだな!」
「イケメンは得だな」と、後から言葉を続ける史也に苦笑いをする森信と聖月。
「まぁまぁ、史也もイケメン·········だよ?」
「今の間何!?」
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