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「まぁ、明奈····山川もほら反省してる事だし···」 床で正座してひたすら説教に耐えている沙乃が哀れに見えてきたのだろう。  陽介は怒る明奈をやんわりと宥めた。 「だって陽ちゃん!このバカちんに見られたのよ!!」 「故意にやったわけじゃないんだからさ」  事故だとしてもだ。  勝手にドアを開けられ二人のあられもない姿を見られ、怒らない人間は少なくない。  怒る明奈を宥める陽介は年齢に関係ないほど大人の包容力を持ち合わせている。  そんな優しい陽介に明奈は惚れたのだろうなと思った。 「ほら、沙乃」 「ちゃんとごめんなさい言わないと姉さん許してくれないよ」  明奈の阿修羅降臨を見て、もはや涙目の沙乃の頭を交互に撫でる史也と聖月に促され、これでもかと言う程、力の限り土下座状態で沙乃は謝罪する。 「本当ごめんなさいぃぃぃ!!」 暫くの沈黙の後、明奈から深いため息が出た。 「·····まぁ、ちゃんと反省してるならもう何も言わないけど···もう今度からこんな事ないようにね。」 「ぅう~···グズ···あ゛ぃ。」  こんな状態の沙乃にもう怒る気力はない。  明奈は鼻を啜りながら涙を溜め込む沙乃によしよしと頭を撫でる。 「にしても、予定より早く帰って来たわね。どうしたの?」 「あー···やる事ねぇからどうするかってなって··」  聖月の提案で長元家に集まったと伝える史也。 おかげで明奈と陽介の今日のスケジュールは水の泡になった。 「聖月の提案なら仕方ないわ」 「お前もかよ!?」  諦めている事だが史也の周りの女集団は聖月に甘い。  いや、史也の周りだけではなく親、学校の関係者その他モロモロ何故か聖月に甘いのだ。  聖月の容姿は老若男女が振り返るほどに整っている。  全体的に細いラインを描く体に艶のあるストレートの黒髪、肌は白く、鼻筋も通っていて、黒目がちな切れ目は見た人を一人一人魅力して行く。  おまけに文武両道、性格良し。こんな完璧な人間誰もほっとかないだろう。 「まぁ、聖月だもん」 「お前も!?」  隣で森信が呟く。 聖月に甘いのは男もだった。
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