597人が本棚に入れています
本棚に追加
/187ページ
「え、でも駄目だよ。もし警備員の人に見つかったら······」
そんな二人とはうってかわって「良くない」と訴える真美。
真美は真面目な方で大人しい性格だ。何故、対照的な沙乃の親友をやっているのか周りにも不思議なくらいに思われている。
元々、厳しい家庭で育った為、髪の毛も染めたことがなく、常に一つに髪を束ねている。
真面目な性格だからか生まれつきなのか、少し幸薄そうな表情がとても印象的だ。
実際に門限ありの真美は沙乃が無理矢理真美の両親を説得させてここに連れてきている。
流石に男友達の家に泊まるとは言えなかったが···
「真美よぉ。こん馬鹿の性格知ってるだろ?」
「おいコラ猿、今なんつったよ?」
真美の隣に座っていた森信の言葉につい反応をしてしまった沙乃。
それを交互に見て真美はアワアワと焦っていた。
「結局どうするの?」
さらに、途中参加の良平が真美と一緒にアワアワしていたことなんて誰も気付いていなかった。
ーーーーーー
結局、沙乃と明奈の押しに負け0時前に学校の教会に忍び込むことになった。
その間リビングでは皆仮眠をとっていた。
「·····あれ?ツキ?」
フと目を覚ました沙乃。
ソファで寝ていた沙乃の隣に聖月が座っていて雑誌を読んでいた。
「あ、おはよ」
「おはよ····起きてたの?」
「眠れなくてね······」
トイレから戻ればリビングでは大人数の男女が眠っていて眠る場所がなかった。
唯一、沙乃の隣が空いていたのでそこに座る事にしたらしい。
「自分の部屋で寝てもよかったのに」
ここは聖月の家でもあるわけなのだから。
「皆ここにいて俺だけ部屋で寝るのも何かね····」
そう言う変に気を遣うのも彼らしい一面だ。そんな彼に思わずフッと笑みが浮かぶ。
最初のコメントを投稿しよう!