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田辺くんはテーブルに 身を乗り出して、 わたしの顔を覗き込んだ。 「実はあの後、 『もちえもん』から、 その後の報告があったんだ。 二人がどうなったか、 聞きたい?」 「……」 「二人の仲はそのまま どんどんおかしくなっていって、 結局、別れたんだってさ。 …彼女は最後まで、 『モトカノの身代わりになんか なりたくない』って 言ってたらしい」 「……」 「これを聞いて、オマエ、 どう思う? あの時言ってたみたいに、 やっぱり彼氏の方が 悪いって、思う?」 わたしは膝の上の手のひらを ぎゅっと握りしめた。 しばらく沈黙が続いてから、 田辺くんは腕組みをして 軽くため息をついた。 「ハンカチ、持ってんの」 そう言われて、わたしは 制服のポケットに手を入れた。
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