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公園の前に立っていると、 先生の車がいつもの角を 曲がって来るのが見えた。 眩しい光に照らされ、 思わず右手をかざし、 顔を背ける。 黒のセダンが公園の脇に ゆっくりと停車すると、 ヘッドライトがフッと消えた。 サイドブレーキを 引く音がしてから、 わたしはトトト、と 運転席側に回った。 パワーウインドーが下がって、 先生が顔を出す。 「こんばんは…」 「こんばんは。悪い、待った? 寒かっただろ」 「いえ、大丈夫です。 …こちらこそ、急に 呼び出してすみません」 わたしは腰を屈め、 先生の顔をまじまじと見つめた。
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