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***** この前と同じ遊歩道を 歩いていると、冷たい風が ひゅる、と音を立てて通り過ぎた。 自然と、二人の手が繋がれる。 指を絡め、先生は わたしの手ごと、 コートのポケットに入れた。 見上げると、こちらを 見下ろす先生と目が合う。 「…寒い?」 「…いえ…」 わたしは先生の腕に頭をもたれた。 二人の歩幅はピッタリ合っていて、 足の長い先生が、わたしに 合わせて歩いてくれているとわかる。 今までも先生は、 わたしの気付かないところで、 こうやってたくさんの 優しさをくれて、…そしてそれを 当たり前の事だと思っている。 先生はいつだって優しくて、 …大人で、…わたしの気持ちを 分かってくれて…。 その寂しそうな瞳で、 わたしだけを見てくれている。 ……そう、思ってた。
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