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「どんな話? 恋パラ的な恋愛相談ごと?」 「…あ、うん、あのね…」 わたしはミルクティーに 目を落としながら、 切り出した。 「田辺くんて、 …彩加の前に、 付き合ってた子、いた?」 「……」 返事が無いので 顔を上げて見ると、 田辺くんは訝しげな目で じーーーっとわたしを 見つめていた。 「…お前、まさか、 …椎名の皮を被った 奈良崎じゃないだろうな」 「ち、違うよ」 わたしが慌てて首を振ると、 田辺くんはさらに わたしの顔を疑わしげに 観察してから、 ふっと真顔になった。 「…奈良崎に言うなよ」 「…うん…」 「絶対だぞ」 「…う…うん…」 「――って言っても、 別に大した話はないよ。 中学まで好きな奴はいたけど、 片思いで終わり。そんだけ」 「…ふうん…」 表情を変えずに コーラを飲んでいる田辺くんに、 わたしはさらに聞いた。
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