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「すみ、ません…少し、貧血で…。」
そう言って女性は頭を押さえふらふらと身体を揺らす。
良く見ると、学生のようだ…それも、あの公立光雲学園…とびっきりのお金持ち学園の制服を来ている。
(…お嬢様、なのかな…。)
思い巡らせながら、彼女の背中をそっと撫でる。
「…しばらく、立たないで、そのままで…。」
「あ、ありがとう…ございます…。」
お礼を告げなから顔を上げる女性、黒髪が良く似合う、とても綺麗な女性だ。
(…やっぱり、お嬢様って綺麗な人が多いなぁ…。)
「あ、あの…。」
顔に見とれていると不意に声が掛かる。
そして何やら顔、身体の感覚が狭い、密着寸前である。
「え?あ、は、はい…?」
思わぬ出来事に身体を後ろに反らそうとする、が。
どんッ!!
「ふ、ぐっ!?」
腹部に鈍痛、それも意識が飛びそうになるくらいの。
「あ、う…?」
腹部を見下ろす雅史。
その腹部には女性の物と思われる細い拳が、自身の腹部にめり込む様子。
額に脂汗滲ませて、ゆっくりと彼女の顔を見詰める。
その表情は、獲物を見つけた狩人の様な、喜びの表情だった。
「…ごめんなさい…?…貴方の、先程の行動…惚れました…なので、貴方を連行します…。」
「我が、光雲学園に。」
そうして、時はその一時間後に遡る。
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