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「おい、聞いてんのか!?ああ!?」
彼女の罵声で意識が戻される。
「あ、はい…聞いてます聞いてます…。」
「だったら早くサインしろ、じゃねーと…じゃねーと…っ!」
「……ち、ちゅー…するぞ…?」
ぴし。
彼の思考が停止する。
─え?何これ…どういう事?
─と言うか、此所どこ?
─あれ?あれ?
─あ、ゲームどうしよう…。
現実逃避である。
「…て、てめえ…乙女にこんな事言わせて…どうなるか教えてやろうか?ああ?」
目の前の彼女が拳をぱきぱき鳴らして近寄る。
止めて下さい、女の子がそんな事しちゃいけません。
言える筈もないのだが。
「ち、ちょっと!ちょっと待ってよ!」
此所でやって覚醒する雅史。
ようやく大事な事を思い出したらしい。
「あ、あの…貴女の、名前…まだ、知らないんだけど…。」
「………。」
しばらく間が空いた後に、こほん、咳払いして彼女の周りに華が咲かん勢いの素晴らしい笑顔を見せる彼女。
「初めまして、わたくし…首藤真理亜と申し上げます。」
「………。」
ノーコメントである。
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