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人をああも翻弄しておいて、どの口が言ってるんだ!? 「あれで初めてってどう考えても嘘でしょ!あんなこ慣れててよくそんなこと言えるわね」 「それって、ヨカッタってことですか?」 「なっ───!それでも、セフレとか勘弁よ、私。責任取ってってそういうことなの?」 「確かに体の相性は良かったですよね」 「ねぇ、ちょっと、何考えてるの?坂崎君は会社でもかなりモテるんだし、何も6つも年上の三十路女に構う必要ないんじゃない?私ももっと先の……結婚のこととかも考えて男性とはお付き合いしたいと思っている、妙齢の女なのよ」 ちょっと重い女を出してみた。 24歳の若い男子なら、これできっと引くだろう。 「妙齢って…」 プッと吹きだしながら、腹を押さえて笑う坂崎君。 「僕、いいですよ。先輩と結婚しても」 「はぁ!?」 な、なんだか突拍子もないこと言いだしたぞ、このコ。 「先輩もどうせなら、蕁麻疹出ない男と結婚した方が幸せだと思いますよ」 「それは…そうだけど」 なんだか言い負かされそうな、私。 「だけど!坂崎君の人生よ?よく考えて!!第一私は年下なんて嫌なの!どうせなら年上の男性の方が…」 「僕をキズモノにしておいて、そんな酷いこと言うんですか?僕は結婚してもいいって思ってるのに…」 な、なんなのこの展開。 イタイわ。 イタイわ、このコ。 「き、きずものにしてしまったことなら謝るから!ごめんなさいっ!!」 私はガバッと深々と頭を下げた。 「……そんなこと、やめてください。先輩」 坂崎君は私の手をそっと取った。 「僕、先輩の彼氏になりたいんです」 そう言って、優しげな瞳で私を見つめると、そのまま私の手を持ち上げると甲にそっとキスをした。 「いや、だから、それは…無理だって」 「どうしてですか?」 「だって、坂崎君まだ若いんだし、もっと可愛くて美人で気の利く女の子たくさんいるよ?もっと周りをよく見ようよ」 「でも僕は先輩がいいんです」 引きさがらない坂崎君。 「でも、私は無理だからっ!!!」 そう言いきると、無理やり坂崎君を部屋から追い出した。 「………なんなのよ………いったい」 玄関でポツリとその言葉が響いた。
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