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月曜日からどんな顔して接すればいいのか……。
お風呂に浸かりながら、大きくため息を吐く。
幸せが逃げるよ~って思いながらも、これ以上に逃げる幸せってもう残ってないんじゃないの?
と、自虐的なツッコミ。
お風呂から上がり、冷えた水をガブガブ飲む。
ふと、携帯電話を見るとピカピカ光っていた。
青色の点滅ってことは、着信アリか。
携帯を手に取り履歴を確認する。
《笹原あゆみ》
久しぶり見る表示に、本日やっと1回目の笑みが零れた。
その時刻、21:31。
起きている時間のほとんどを坂崎君のことを悩んで費やしてたんだ…。
そのまま通話ボタンを押し、続く機械音に耳を澄ました。
コールすること数回………。
『千歳?久しぶり~』
懐かしい声のトーンに、気持ちが落ち着いた。
「久しぶりだね。えっと、去年の夏以来?あゆも元気?」
『元気だよ。今度、またいつもの飲み会しようと思って』
“いつもの”というのは仲の良かった高校の同級生との集まりのこと。
それもけっこう久しぶりだな~。
「いいね!いつ?」
『今度の金曜とか、どう?』
「オッケー!空けとくね」
『じゃあ、こっちも武志とか信司にも声かけとく』
「わぁ!楽しみ。私も沙耶、誘うね」
『よろしく!じゃあ、詳細決まったらメールするね~』
「はーい、待ってま~す」
笹原あゆみ(ささはらあゆみ・通称あゆ)は高校の同級生でその後同じ短大に通った。
短大卒業後も何かと連絡を取って会っている数少ない級友である。
さらに沙耶は短大は違ったけど同じ会社でほぼ毎日顔を合わす。
久しぶりに高校の時に仲の良かった友達との飲み会の予定が入り、嬉しくなった。
気心の知れた人との会話に沈んでいた気持ちも引き上げられた。
よしっ!
明日は朝から掃除でもしますか。
気合を入れ直して、布団にもぐった。
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