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坂崎君の仕事以外の言葉はすべてシャットアウトし、やっとランチタイム。
私は社員食堂へと向かう。
広い食堂を見渡すと、こちらに手を振る女性を発見。
「千歳!席、取っておいたよ」
「沙耶、ありがと~」
私は沙耶に手を振り返すと、A定食をトレイに乗せて沙耶の隣に座った。
宇田川沙耶(うだがわさや、旧姓:田中)、高校の同級生で同期。
ただ、私と違うのは…左手薬指にまばゆく光るシルバーリング。
沙耶は去年、結婚した既婚者だ。
綺麗に手入れされた黒髪と爪先を見るだけで、女子力の高さが窺い知れる綺麗系女子。
「あ、そうだ。昨日あゆから今週の金曜日に高校の飲み会するって連絡あったんだけど、沙耶は来れるかな?」
以前は強制参加だったけど、結婚してからは一度お伺いを立てて誘うようになった。
「金曜日?あ、ちょうど康太も飲み会で遅くなるって言ってた!」
康太さんは沙耶の旦那様。
ちょうど、歓送迎会シーズン。
どこの会社でも飲み会が多いみたい。
ちなみに…坂崎君と一夜の過ちを犯してしまったのも、営業部長の送別会で飲み過ぎたのが原因だ。
「「あ、メール」」
沙耶と声がハモり、顔を見合わせて笑う。
二人して携帯を確認すると、送信者は《笹原あゆみ》だった。
内容は、今ちょうど話していた金曜日の飲み会についてだった。
「CURURI(くるり)かぁ。久しぶりだね」
CURURIは和食系の居酒屋で、だいぶ昔からよく利用している。
あそこの揚げだし豆腐、美味しいんだよね♪
と早くも色気より食い気の私。
「相馬、来るんだ。珍しいね」
メールを見ていた沙耶が、少し驚いたように言った。
「えぇぇぇ!?」
会場しかチェックしていなかった私は、改めてメールを読み返す。
『金曜日の飲み会の件で~す
場所 《CURURI》
時間 19時より
参加メンバー
武志、信司、相馬、千歳、沙耶、私(あゆ)
相馬は久しぶりの参加で~す
みんなに会えるの楽しみにしてるよん♪』
っていうか、沙耶の参加確定してるし(笑)
じゃなくて!!!!
「相馬って………メグのこと?」
「そのメグたんしかいないじゃん。私らの世代の相馬って言ったら」
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