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時折うざったい坂崎君をなんとか交わしながら、やっと迎えた金曜日。 私は残業にならないよう、デスクに積み重なる書類を処理していく。 「先輩、今夜飲み会でしたよね?」 「そうだけど?」 坂崎君は上から下まで私を意味ありげに見る。 「男性もいるって言ってたけど、特に気になる人がいるわけじゃないんですね」 と、くすくす笑う。 まぁ、いつもとおんなじ女子力のカケラもない格好ですけど、それが何か!? いちいち嫌みなヤツ!! 私は鼻をフンと慣らし、坂崎君を睨んでまたパソコンへ視線を戻す。 「じゃあ、僕は今日外回りなので、先輩も残業にならないように頑張ってくださいね」 坂崎君は立ち上がりビジネスバッグを持った。 「あ、うん。坂崎君も頑張ってね」 「はい!」 嬉しそうにキラースマイルを私に向けると小さく手を振って、部屋を出て行った。 坂崎君は取引先にも受けがいい。 仕事もきっちりこなすし、営業成績もいい。 密かに、健吾先輩と重ねて見ていたりもする。 でも、恋愛となると…。 そういう対象ではないことだけは確か。 「よし、頑張ろう」 軽く両頬を叩いて、パソコンへと集中した。
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