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時刻は19時10分。
週末の経理は忙しいらしく、私は自分の仕事を済ませた後、沙耶が終わるのを待ってから二人でCURURIに向かった。
「沙耶、千歳、遅いよ~」
先に着いていたあゆがこちらを見て手を振る。
「待たせてごめんね~」
店の奥の方の座敷に、あゆと3人の男性。
ちょうどこちらに背を向けていた体格のいい男性が振り返った。
「おお、久しぶりだな~」
男性は私と沙耶を見て、目を細めて笑う。
短く刈りそろえられた黒髪、健康的な肌。
黒い瞳は少し垂れ目で。
チェックのシャツを羽織った上からでも窺い知れる、鍛えられたがっしりとした体。
一見無愛想で、コワモテの………。
───あぁ、やっぱり、そうだ。
「相馬!久しぶりね。元気してた~?」
沙耶は私をその男性の横に無理やり座らせると、私の横に座った。
本当に────メグだ。
「千歳も久しぶり」
声をかけられメグを見ると、二カッと笑っていた。
「ホント、久しぶりだね~」
私はそれだけ言って、メグからメグが持っていたビールのグラスへ視線を移した。
彼はメグこと、相馬廻(そうまめぐる)。
私の2歳からのツレ。
実家がお隣同士で、家族ぐるみで仲良くしている幼馴染。
高校卒業後、離れ離れになったけど、なんだかんだでもう四半世紀を超えた付き合いだ。
「お、幼馴染コンビ、復活だな」
目の前に座る、稲垣武志(いながきたけし)が茶化すように笑っている。
その隣には、近藤信司(こんどうしんじ)、反対側の隣にはあゆが座っていた。
「あぁ、そうだな………5年ぶりか?顔合わすの」
そう5年だ。
あれから────5年。
「そうだね。メグは熊本じゃなかったの?」
先日聞いた、メグの母親情報では、熊本にいると言ってたと思ったけど。
「4月からこっちに異動になったから。これからもちょくちょく会えるぞ」
「「えぇ!?」」
私と沙耶の声が重なった。
「そうらしいよ?」
あゆがそういうと、武志も信司も頷いた。
そうなんだ……。
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