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「───まっ、そんなこともあるさ」
信司がポツリと呟くと、「焼酎ロックで~」と店員さんに注文した。
みんなあはは~と笑って、今度は武志の矛先が私に向いた。
「で、千歳は?なんかずいぶん…老けた感じするけど」
キャハっと沙耶が笑う。
パシッとあゆが武志の後頭部をはたく。
「もうここ数年、浮いた話はないのよね~。前の失恋から、外見までこんな感じになっちゃって。女性ホルモンもどっかいっちゃったみたい」
私の代わりに答える沙耶。
「でもね、最近6コも下の男の子といい雰囲気なのよね~。もう超イケメンで可愛い男の子~」
「ちょっと、沙耶!坂崎君とはなんでもないって!6つも年下なんてありえないでしょ!」
慌てて制止する。
お酒も入って饒舌になっているから。
「へぇ~。やっぱりお前ら付き合えよ。っていうかもう結婚しろ!」
呆れたように武志がメグの肩を叩いた。
「そ、そういう武志はどうなのよ!」
今度は私が武志に矛先を変えた。
「……………」
そしてまた微妙な沈黙。
「────武志は笹原と恋愛中」
また沈黙を破ったのは信司の呟き。
「「「えぇ~~~!!!」」」
真っ赤になって口を結ぶ武志と、ニハっと可愛く微笑むあゆ。
その二人の態度は、信司の言葉が本当であると物語っていた。
「え、いつからなの??」
興味津津と沙耶が身を乗り出した。
「去年の夏の飲み会から」
答えたのは信司だった。
「もう、お前ら結婚しろ!」
メグがニヤニヤして武志に反撃した。
「そっかぁ、同級生同士の結婚ってなんかいいね~」
私は嬉しくなってそう呟いていた。
「そう思うなら、もう相馬と結婚しろよ」
武志がまたその話を引っ張り出してきた。
「でも、千歳と相馬は、銀婚式越えて真珠式迎える付き合いだからね~」
あゆも便乗して茶化す。
こういう時、メグはいつも何も言わない。
メグが言わないから私も何も言えない。
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