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「千歳────お前……!」 いつの間に起きたのか、息を飲むようなメグの声が背後から聞こえた。 立ち上がった際に、シーツに残った赤いシミ。 久しぶり過ぎて出血したみたい。 それを見てメグは、口元に手を当てたまま言葉を失っていた。 「───初めて……だったのか?」 「えぇと…なんて言うか…その」 そ、そうだよね、そう思っちゃうよね。 「お、俺、お前のこと─────」 「いやいやいや!」 慌ててメグの言葉を遮る。 責任感の強いメグのことだ。 きっと気にして責任取るだのなんだの言うつもりなんだろう。 悲しいくらい、メグの思考回路は理解している。 「き、気にしないで!久しぶりなだけだから!」 ベッドから無理やりメグを押しやりシーツを剥ぐと、そのままそれを体に巻き付け、脱ぎ散らかされた自分の服を拾うと、メグの部屋を出て、洗面所へと足を運ぶ。 巻き付けたシーツを体からはずし、汚れた部分をゴシゴシと洗う。 シミが消えたところでシーツを洗濯機に押し込みスイッチを入れた。 「…何やってんだ、私」 回る洗濯機の音を聞きながら、服を着て、逞しいメグの体を思い出す。 どうして蕁麻疹出なかったんだろう…? 先週、彼氏相手に全身蕁麻疹に覆われたはずの私の体は、メグに抱かれた後も変化がない。 メグの事が好き…だから? そう思って頭を振る。 今までメグをそういう対象で考えたことは一度もない。 だったらどうして…? 彼氏は駄目で、メグならいいの? 考えてもなんの答えを出ない状態で、私は洗面所で座り込み、頭を抱えた。 「………大丈夫か?」 いつの間にかメグが洗面所まで来ていた。 メグはすでに服を着ていた。 「千歳…」 メグの声は震えていた。 あぁ、もうこの居心地のいい幼馴染の関係は壊れてしまったんだ。 もうあの頃には戻れない。 「メグ…ごめんね!」 私はそれだけ言うと、洗面所を、相馬家を飛び出した。 「おい!千歳っ!!」 慌てたようなメグの声が聞こえたけど、私は足を止めることはなかった。 そのまま自宅に帰ると、荷物を持って自分のアパートに帰った。
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