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坂崎君は不思議そうに小首を傾げる。
「普通って………先輩って特殊なプレイの方が────」
「それも違うからっ!!」
変な性癖を押し付けられる前に、坂崎君の頭に軽くチョップし、大きく否定した。
「先輩の普通ってよく分かりませんが、吐いたり肌がブツブツとかそういった症状はなかったですよ。
というか、むしろ、僕の腕の中で可愛い喘ぎ声を上げて感じまくってくれてました。
先輩って意外と────」
「わー!わー!わー!」
話が変な方向へ反れそうだ。
坂崎君の口を両手で塞いだ。
そっか。
普通にできたんだ。
その相手が……坂崎君とは。
小さく零れた安堵の吐息を、すかさず坂崎君は拾った。
「ため息とか…酷くないですか?」
ちらりと坂崎君を見ると、唇を尖らせてむくれていた。
形のいいこげ茶色の瞳には悲しさも滲んでいた。
その可愛らしい仕草に思わず母性本能がくすぐられそうになる。
「いや、違うの!」
行為の後に溜め息を突かれるなんて、ショックよね。
申し訳なくなり、私は本当の事を話すことにした。
「私ね……最後までできた人って、あまりいないんだよね」
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