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「ハジメテが綺麗な思い出過ぎたのかなぁ。それからはもうキス以上はできなくなってた。だから誰とも長続きしなくて。最短3日とか」 布団をきっちり胸元まで引き上げ仰向けになって天井を仰ぐ。 「彼女に蕁麻疹まで作られて拒否られたら、それこそトラウマですよね」 あははと軽く笑い飛ばす坂崎君。 くるくると私のパーマのかかった髪を一束すくい弄んでいる。 「────で、『あまりいない』ってことは、何人かは最後までできた人いるんですか?」 坂崎君のその質問にドキリと心臓が跳ねる。 寝転がったまま片肘を突いた掌に頭を乗せ、坂崎君は私の顔を覗き込む。 「へぇ、いるんだ?」 その言葉に驚いて坂崎君を見ると、挑戦的な表情で口角を上げていた。 絡んだ視線を外すように目を泳がせる私の顎を坂崎君の指が捕えた。 「何人?」 「えと……一人」 「僕も知ってる人ですか?」 「全然知らない人」 「ふ~ん」 これは嘘じゃないから、真っすぐに坂崎君を見返して答えた。 「じゃあ、逆にアレルギー出た人は?」 「う~ん…よく覚えてないけど5人くらいかな」 「へぇ。じゃあ、その中に僕も知ってる人いますか?」 「………!」 その質問に思わず目が泳いでしまった。 私の顎から指を離すと、坂崎君はまたくすくすと笑う。 「先輩って、分かりやすっ」 これ以上表情を読み取られないよう、坂崎君に背を向けた。 「へぇ~。僕も知ってる人って誰だろうなぁ」 そう言って、坂崎君は私の背中を指でツツツと撫でた。 その感覚に私は思わずのけぞる。 「ハジメテの人と、僕の知らないその人と僕。何か共通点ってあるんですか?」 私の髪に顔をうずめ、耳元で坂崎君が囁いた。 坂崎君の細い割に筋肉質な腕が私を抱き寄せる。 「ちょ、ちょっと。坂崎君、やめて」 振り払うように腕を押しのけてみたけど、びくともせず。 そのままギュッと抱きしめられていた。 「本当にアレルギー出ないか、シラフで確認してください」 坂崎君の唇が私の首筋を吸った。 「……や……、あ……ちょっと……はぁっ………」 坂崎君の指が、唇が、舌が、体中を這い、快楽へと誘う。 私の抵抗の言葉は、虚しくも甘い嬌声へと変わって行った。
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