第31章

2/20
前へ
/36ページ
次へ
塾の授業が終わり、 外に出た時には、 既に陽が落ちかけ、 薄暗くなっていた。 冷たい風に吹かれ、 思わずバッグを 身体の前で抱きしめる。 ――今日は、全然 集中できなかったな…。 白井さん宛ての恐ろしい 留守電の内容と、レナさんの 『作戦』のことがちらついて、 勉強に全く身が入らなかった。 とりあえず、わたしが今日、 白井さんに電話をして、 さりげなく仕事のスケジュールを 確認するということで、 レナさんとは別れたのだけれど…。 …ていうか…。 …さりげなく、とか、 …私にできるのかな…。 『萌ちゃんなら出来る!』と 根拠のない太鼓判を 力強く押されたけれど、 …時間がたてばたつほど、 そのレナ判の効力が薄くなっていく。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

331人が本棚に入れています
本棚に追加