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きっかけはどうあれ、 …今のわたしと先生の世界が、 二人で作り上げて来た ものであることは、事実だ。 田辺くんの言うように、 …いつかわたしと先生の『今』が、 彼女と先生の『過去』を 越えられる日が、来るかもしれない。 そう考えた時、 …彼女との過去が、 一体どれだけのものだったのか、 見ておきたいという気持ちが、 わたしの中で大きく膨らんでいた。 「…観る気、あります」 わたしが答えると、 白井さんは、おっ、と 驚いたように言った。 『なんか、先生と いいことでもあった?』 「え?」 『めちゃめちゃ、明るいから。 この間は、今にも 消えちゃいそうなくらい、 弱々しかったのに』 「…そうかな…」 『うん。やっぱり 萌ちゃんは、こうでなきゃ』 「……」 白井さんの言葉に、 自然と笑顔が浮かんだ。
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