結:結ぶ恋(続き3)

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 「なんですか?」  「1年前の今日、何してたか知ってるか?」  「1年前? いや、さすがに分かんないです」  「ククッ……だと思った」  笑いながら私を引き寄せて、後ろから抱きしめる。  ワンピースの裾がひらりと揺れて、ふわりと風が足を通っていくのが気持ちいい。  「覚えてるんですか?」  「覚えてるよ」  斜め上を見上げて尋ねると、誇らしげな顔をした刻也さんから返事が返ってきた。  1年前?  6月……  うーん、総務に馴染んできて、会社妻とまで呼ばれた当たりかな?  しかし本当に妻になるだなんて、みんなびっくりしてたな……なんて思いながら、皆の驚きの表情を思いだしてくすっと笑う。  「え、そんなにおもしろいことあったか?」  「いえっ。会社妻じゃなくて、ほんとに妻になったらみんな驚いてたなーって思って」  「そっちかよ」  「ごめんなさい。脱線しちゃって」  ぺろりと舌を出すと、はぁーっとため息を吐かれた。  「いいよ。苦労するのは分かってたから」  なんて笑いながら言われた。  「く、苦労って、そんなにっ」  「いーの。お前はそのまんまで」  「もぉー、そんなことないのに」  ぷ、と頬をふくらますと指先を頬に刺されて潰される。  潰された頬に、ちゅっとキスをされればそれで満足してしまうんだから、私ってどうしようもなく刻也さんに転がされている気がする。
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