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「は……?」
「やっと。やっと分かったの!」
嬉しくて、顔がにやけて止まらなくて、そのまま彼の首に両手を回して抱き着く。
「ずっと、ずっと隣っ」
私はそう言って、嬉しさのあまりキスをした。
「え……?」
私の行動にも言葉にもついて行けない刻也さんは、ただ茫然と立っている。
その表情すら愛しくて、笑みが零れる。
嬉しさを噛みしめて、私はゆっくりと説明を始めた。
「来年の今日、再来年の今日の刻也さんを思い浮かべるでしょ? そしたらね、必ず私がいるんです」
「萌優が?」
「そうなの。刻也さんのことを想像してるはずなのに、私が浮かぶんです。それは、明日も明後日もその先も、おじいちゃんの刻也さんでも。多分私、隣に居ます。だから」
「『あなたをおもうたび、いちばんじかに永遠をかんじる』……だな。そっか。うん……分かった、そうだな」
私の伝えたいことが伝わって、刻也さんは晴れ渡るような笑顔を見せた。
相手を思っているとずっと向こうが見える。
ずっと先に生きる自分が。
未来は何も分からないのに。
でも変わらないもの。
それは「あなたの隣に居る私」。
だから、永遠を……あなたを想うたびに感じるんだ。
それがあまりにも素敵で、私は涙が零れた。
「刻也さん……」
ポロリと涙を零して見上げると、彼の目も赤いことに気が付いた。
先に生きる私を想って、刻也さんにも見えたんだろうか? 共に生きる自分の姿が。
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