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ペタリとベッドの上に座る私を両足で囲うように座ると、刻也さんは右手を私の頬に添えて引き寄せ再び口づけをした。
先ほどと違う柔らかな口づけに、少しの物足りなさと、初めてへの緊張感でドキドキが高まっていく。
唇に、頬に、鼻に、瞼に、目尻に、こめかみに。
たくさんのキスの雨が顔中に落ちてきて、まるで発熱した時のように顔に熱が集中する。
それを受け止めながらも恥ずかしさにきゅっと目を瞑ると、最後には優しい彼が尋ねてくれた。
「萌優、いいのか?」
耳朶を柔らかく食みながら囁くところが憎い。
耳の奥まで届くその声にゾクゾクしながらコクリと頷くと、破壊力の有りすぎる声で続けて囁く。
「好きだ……」
それだけで、私の心臓が壊れそうなほどに鼓動を打ち始めてしまう。
いっぱいいっぱいの私は、何も言えずにそのまま押し倒されて、ぽすっと体がベッドに沈んだ。
真上に見る刻也さんの瞳はとても柔らかいのに怖くて、私はこれから肉食動物に食べられるウサギみたいな気持になった。
つい怯えて震えると、彼はふわりと笑って私の額にキスをする。
何度も触れる柔らかさに、思考がふにゃふにゃしてしまう。
そっと大きな掌が、服の裾から侵入すると、ゆっくりとまくり上げられるその感覚にドキドキしながら、私は抵抗することなく彼の服をきゅっと握りしめた。
それで何か変わるわけでもないけれど、怖いことなんかじゃないんだって自分に言い聞かせたくて彼に触れた。
ゆっくりと上に上がってくるセーターの中から、彼の指先が私の腕に触れる。
それを合図にそっと肘を折ると袖が抜けて、そのまま頭からすっぽりと脱がされた。
恥ずかしさのあまりキョロキョロと目を泳がせると、今度は唇にちゅうってキスが落される。
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