271人が本棚に入れています
本棚に追加
「ゆっくり、大事に、するから」
その顔を見て目と目が合うと、実は私だけが怖いんじゃないのかもしれないって思った。
大事にしてたのは、私だけじゃなくて、刻也さんも同じだから。
だから……もしかしたら態度以上に、彼も同じくらい緊張しているのかも――なんて。
そう思ったら少しほっとして、頬が緩んだ。
すっと手を伸ばして、彼の頬に触れると私も手を滑らせて彼の左耳をやわやわと弄ぶ。
ぴくっと震える彼が何だか嬉しくて、ふわりと微笑んだ。
「おねがい、します」
その言葉を受け取ったとでも言うように最後にもう一度キスが落されると、私のスウェットのズボンが剥ぎ取られた。
ゆっくりと太ももを滑りながら脱がされていくのが恥ずかしい。
素肌を滑っていく手が、温かくて大きくて、やっぱりぞわぞわしてしまう。
上も下も剥ぎ取られて、残りはキャミソールと下着だけにあっという間にされていた。
「ぁ、あ……っ、ん」
満足に息も出来ないほどの深いキスがまた始まって、だけど彼の手は止まることを知らない。
気が付けばたくし上げられたキャミソールのせいで、素肌が夜の空気に触れて震えた。
彼の指先が、また私の体をなぞるように脱がせていくからどこもかしこも爆発しそうなくらい体が熱い。
柔らかな部分をゆっくりと包む手が、優しく私の快感を呼ぼうとしている。
先の敏感な部分に触れられて、なんだか分からない刺激が体に走ったかと思ったら彼の唇がそれを食んでいく。
「ん……っ、や、ぁ」
こんな刺激、私は知らない。
こんな感覚、私は触れたことがない。
堪らなく私の身体から何かを呼び起こそうとするその刺激に、私の身体はどうにかなってしまいそうだ。
恥ずかしさに声を耐えていたら、ちゅっと音を立ててそこから彼が離れた。
最初のコメントを投稿しよう!