結:結ぶ恋(続き3)

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 それなのに、どこか心地よくて安心する。  ――これって、刻也さんだから……?  「あったかいな」  私を抱きしめる刻也さんの声が、頭上から聞こえた。  「え……?」  「いや、お前あったかいなーって思って」  「そうですか?」  「俺さ。こんな風に思ったことなくて」  「……」  「いざ、萌優を前にしたら震えてきた」  「そんな」  「大事過ぎて、怖い」  ぎゅうっときつく抱きしめられて、思わず息を止めてしまう。  刻也さんは昔私以外の人と……なんて想像したくないから、言葉が出なかった。  でも、それもあって今の刻也さんがいて、そして今は私だけを想ってくれている。  想い過ぎて指先を震えさせる彼に、私は愛しさがこみ上げてきた。  そっと左手を脇の下から差し込んで背中に回す。  ゆっくりとその背を撫でてぎゅうっと抱き着いて、胸元に額を擦りつけた。  「大丈夫ですから。私、頑丈ですこれでも」  私が表現できる精一杯で、彼に大丈夫だと伝える。  本当は少し怖い。  もう二十歳も過ぎてって言われようと、初めては何かしら怖いのが世の常だ。  小さく震えてしまわないかとドキドキしながら、さらに体を寄せると安堵の息を吐いて、刻也さんがフッと笑った。  「ん……そうだな」  今度は額にキスが落ちてきて、そのまままたバサリと布団が音を立てたと同時に、私の上に彼が跨る。  「なるべく、努力するけど」  「どりょ、く?」  「泣かせたら、ごめんな」  「っ――!」  言われたことの意味が分かって、少しパニック気味に赤面した。  真っ暗闇で見えないと思うけど、それでも恥ずかしくて両手で顔を塞いでしまう。  「顔、見せて」  両手を取られると、メガネを外した彼の顔が至近距離に現れた。
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