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「アリス。わたくしのアリス…」
真っ赤な血のついた大鎌。
ピンクの可愛いドレス。
そしてふわふわの金の髪。
「女王さま…?」
涙で濡れた頬。
つ、とまた一粒の涙が頬を伝い、潤んだ瞳が私を写す。
「アリス…アリス…。猫なんて傍に置いては駄目。アリスはわたくしが首だけにしてずっとわたくしの傍にいるの…」
「相変わらずの首狂いだね。女王」
いつの間に私の腕の中にいたのか、チェシャ猫が私は抱えられながら言った。
「おだまり。猫の分際で盾突くなんて生意気よ。そもそもアリスに運んでもらうなんて…!」
女王さまはキッとチェシャ猫を睨み付ける。
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