プロローグ

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―中学1年の冬… 「お母さんっ…お母さんっ!」 病室に鳴り響く、私と妹の泣き声。 ベッドには優しい笑みを浮かべるが、頬には涙が伝っている、 もう二度と目を開くことはない母の顔。 こんな事になるなんて…思いもしなかった。 突然私の前から存在を消した母。 父は離婚で元々いなかったため、私達は祖母の家で暮らしていた。 が、母は生前「私が死んだら奈由と郁、二人で暮らすのよ」 そう言っていたため、私と妹の郁は、二人暮らしをするハメに。 私、若月奈由は高校2年。妹、郁は中学1年。 実家近くの小さなアパートで暮らし始め、 元々やっていたソフトボールはやめ、 とりあえず家事に専念した。 「大変だね」「疲れないの?」 事情を知ってる友達は、皆口を揃えてそう言う。 思いっきり他人事のような口調で。 でも皆、口だけ。 誰も助けてくれない。助けようとしてくれない。 お願いだから、誰か支えてほしい。 こんな本音は誰にも言えない。 そんな事を思い続けていたら……… 私の前に、天使のような存在の彼が現れてくれました。 でも…彼は私の存在を知らない。 知らなくていいんだ。 叶わなくても…いい恋なんだ。
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