2人が本棚に入れています
本棚に追加
―中学1年の冬…
「お母さんっ…お母さんっ!」
病室に鳴り響く、私と妹の泣き声。
ベッドには優しい笑みを浮かべるが、頬には涙が伝っている、
もう二度と目を開くことはない母の顔。
こんな事になるなんて…思いもしなかった。
突然私の前から存在を消した母。
父は離婚で元々いなかったため、私達は祖母の家で暮らしていた。
が、母は生前「私が死んだら奈由と郁、二人で暮らすのよ」
そう言っていたため、私と妹の郁は、二人暮らしをするハメに。
私、若月奈由は高校2年。妹、郁は中学1年。
実家近くの小さなアパートで暮らし始め、
元々やっていたソフトボールはやめ、
とりあえず家事に専念した。
「大変だね」「疲れないの?」
事情を知ってる友達は、皆口を揃えてそう言う。
思いっきり他人事のような口調で。
でも皆、口だけ。
誰も助けてくれない。助けようとしてくれない。
お願いだから、誰か支えてほしい。
こんな本音は誰にも言えない。
そんな事を思い続けていたら………
私の前に、天使のような存在の彼が現れてくれました。
でも…彼は私の存在を知らない。
知らなくていいんだ。
叶わなくても…いい恋なんだ。
最初のコメントを投稿しよう!