[教会聖書]第一章、第一節より抜粋  ――審判

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[教会聖書]第一章、第一節より抜粋  ――審判

 遙か昔、鋼の身体を持ちし裁きの代行者達が空より舞い降りた。  大地は抉られ、火が噴き荒れる。水は涸れ果て、空は星の出ぬ永遠の夜になった。  次第に裁きの代行者は静まったが、一刻も経たず空の闇より白き悪魔が吹き荒れた。  あらゆる生命は白き悪魔による寒さと飢餓で息絶えた。  僅かながらの生命は地の最奥へ逃れ、寒さより脱したが長き間に渡り、飢えに苦しみ、死んでゆく者も多くいた。  この世の地獄と思えるその地に、彼の者が現れた。  彼の者は携えし神器を構え、空に向かって仰ぐと、たちまち世界に光が満ちた。  白き悪魔は溶け去り、水は再び大地を潤す。  空に留まる夜も消え去り、蒼き空には太陽が、暗き空には月が輝く。  大地は歓喜に震え生命は地上へ赴いた。  再び踏み締めた地上には見る影もなくなった過去の遺産と高度な文明、異形の姿となった魔物。そして審判の爪跡が残った。  生き残った人々は今までの世を捨て、新たな文明を創る事となった。  世界を清めた彼の者は英雄となり、神と崇められたが、降り立った大地に闇を払った神器を突き刺し姿を消した。  彼の者は聖者の象徴として崇められ、裁きの代行者による世界の破滅を審判と名付けられた。
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