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俺の照れくささが伝染したのか咲穂も照れくさそうに俯いた。
玄関で向かい合ったまま立ち尽くす2人。
妙な沈黙が照れくさく、そしてくすぐったく感じる。
「今日のご飯は何?腹ペコなんだけど……」
妙な沈黙を断ち切るために俺が言うと咲穂はパッと顔を上げ
「今日はシチューにしたの。前にユキが好きだって言ってたのを思い出して……」
余程上手く作れたのか自信ありげな笑みを見せ、急に俺の腕を引っ張り急かしだす。
そんな咲穂の後ろ姿を見て、つい顔がニヤけてしまった。
リビングに入ると玄関とはまた違う温かい空間が俺を迎えてくれた。
「もう出来るから早く着替えてきて」
咲穂は余韻に浸る間も与えてくれず、足を止めた俺の背中を押す。
そんな些細なやり取りも俺にとっては嬉しく「分かったから」とわざと渋々答えながら寝室へと向かった。
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